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明六つ時計 制作メモ

外観 ビン+フタ 基板+表示板 フタ+基板 基板1 基板2 基板3 基板4 基板5 基板6 基板7 基板8 基板9

発想 2015年3月29日

 石川英輔の大江戸神仙伝を読んで、江戸時代の時刻は現在でも便利なのではないかと思い、その時刻を示す時計を作りたいと思った。 作者の石川英輔も目盛を付け替える方式の時計を作ったみたいなので、私はCPUを使い 目盛は同じで針の動く速さを変える方式で 作りたいと思った。

構想

 今の時計の短針のみで 一周で1日を示す方法にしたい。めもりは固定で 上が昼間の九つ、下が夜の九つ、にする。 電池駆動で約1年間は交換なしで動き続ける。フォトスタンド風のアクリルで作りたい。
 ガラス瓶の中に入れるのも洒落ていて良いと思う。どちらにするかはおいおい考える。

実装

 PIC 又はAVRを使う。針はステッピングモータで動かす。現在時刻はRTCより読み込む。調整用にLCD表示とスイッチを裏側に持つ。 電池はコネクタを介して 基板外に取付ける。ステッピングモーターも基板外に持つ
 6Vからドロッパーレギュレータで3.3Vを作る(SIIのS812xx又はS817xx辺り)。モータは電池に直接つなぐ。RTC(I2C)は精度の良いものにするかNXPの安い物を使うか? 電池駆動で1年間とすると2000mAhではちょっときつい。つまり単三ではきつい。単二が必要になる。(又は単三リチウムにするか?)出来れば単一にしたい。 となると ケースが大きくなるので電池は別箱にするか。その時のコネクタはどうするか? LCDは付けるとして、グラフィックにするかキャラクタにするか?設定だけならI2Cの物で良いだろうが 現在時刻表示するとなるとグラフィックの方が良い。グラフィックは電流を食いそう。キャラクタならば200uA以下で有りそうで、設定時だけ電源を入れれば良いだろう。 電池を外付けにするとRTC用のバックアップボタン電池が必要だろう。

現状

 1パルス1度のギヤ付ステッピングモータを購入した。3Vぐらいでも短針程度なら動かせそう。(でもCPU電圧との関係から4.5Vか6V欲しい)
 PIC16F1827の基板にモータドライブ回路と押しボタンスイッチを追加してステッピングモータを動かす。1パルス1度で動かすと思っていたより荒い感じなので1-2相励磁で0.5度ステップで進める
 プログラムはGLCDと NXPのRTCのプログラムを16F1824で作った物から持ってきてちょっと修正してコンパイルは通った段階。実際に動くかは不明。ハードを作らないとチェックが出来ない
 ハードを追加したが、1827ではプログラム領域が足りないので、時計調整と、位置調整を別々に入れて確認した。その他ハードに関連するプログラムの動作は確認した。 現状ではプログラム領域の問題と消費電流の問題が残っている。消費電流を少なくするためのスリープはまだ入れていないので、常時LED点灯を止めた後にプログラムを修正して電流を測る必要が有る。 プログラム領域の大きな1847をRSに頼んだ。
 スリープ命令を追加すると、止まっている時は100uA~150uA位(メータの左隅でハッキリしない)になっている。なので 連続の電流は150uAとして、2分に一回10mS位100mA流れるとすると 連続は1時間に150uAで 駆動時の時間平均は(10mS/60S)x100000uAx30回=500uAなり、合計650uAと考える。これで 1年持たせる為には 1年が8760Hなので  8760Hx650uA=5.694AH(約5700mAH)の電池が必要になる。単三では無理だろう。現在720ステップにしたが、これを1相励磁の360ステップにすれば、4分に一回なので1時間当たりの平均電流は 250uAになり、連続との合計は500uAとなる。8760Hx500uAは約4400mAで単三リチウムでも無理だろう。従って単二電池で考える。  現在時刻から昼9刻~4刻、夜9刻~4刻の変換方法の考え方は、24節気ごとの夜明けと日暮れの時刻を記したテーブルを使って 現在月日からどの節季テーブルかを求め、夜明けから日暮れまで、又は日暮れから夜明けまでの 分の数を求め、その分の数が360ステップとして、現在の時刻からステップ位置を求める。そのステップ位置を使ってステッピングモータを駆動する。
 テーブルとしては月日[BCD4桁]、夜明け時刻[BCD4桁]、日暮れ[BCD4桁]の計6バイト[BCD12ケタ]の24節気分になる。(144バイト)テーブルの切り替えポイントは明六つ(夜明け時刻)とする。 テーブルの探し方としては、(最後のテーブルから探すとして)現在月日時分の値が テーブルの月日夜明け時刻未満かを見てそれ以下だったら一つ前のテーブルにして行くのを繰り返し、 以上になったらそのテーブルの夜明け時刻と日暮れ時刻を使い、現在時刻がその日暮れ時刻未満で夜明け時刻以上だったら昼間と判断して 夜明け時刻からの経過分数を求める。夜だったら日暮れ時刻からの分数を求める。 360ステップが昼または夜フルスパンのステップなので昼、夜の総分数を求めて(360/総分数)x経過分数(夜はこれに+360)からステップ位置を求める(long計算)
 1相励磁、2相励磁の駆動時の電流を測ったら、1相励磁が65mA、2相励磁が140mAになった。1-2相励磁はその中間と考えればよいだろう(約100mA)。駆動していない時のスリープ状態の電流は100uAより ちょっと多い程度(110uAぐらい?)なおLCDを外した時は20uAなのでLCDで90uA位使っていると言う事になる
 モーターの電流計算に間違いが有った。「(10mS/60S)x100000uAx30回=500uA」の計算の60Sは間違いで3600Sでした。 (10mS/3600)x100000uAx30回=8.3uAが正解。なので 1時間に当りの電流は120uAとして計算すると120uAx8760h=1051mAh(約1000mAh)になる。 単三電池で十分まかなえることになります。スペースの問題から考えると2CR5(6V、1400mAh)又はCR123A(3V、1400mA)2本を検討してもよさそう。

制作時の具体的な事柄

 ケースはキャンドゥのアクリルフタのガラス容器(小)を使い、アクリルの蓋に基板を取り付ける。その基板の表にステッピングモーター、主な部品、裏に電池、スイッチなど全てを取り付ける。
文字盤は円筒形とし、プリンターで印刷した紙を切り抜いて作る。文字盤の取付は3φ用のツマミを加工(高さを低く)して使う。
CPUは16F1847を使い、電池はCR123Aを2本、ステッピングモーターは一周720ステップの物を1-2相励磁で1440ステップにして使う。
モータの取付は18mmのスタッド2本、基板の取付は20mmのスタッド3本を使い、基板に取り付けるビス、ナット、スタッドは絶縁物の物を使う。なければ 片方(ビスかナット)は最低でも絶縁物にする
調整用スイッチは基板に付けたタクトスイッチとし、アクリルフタに開けた小さな穴から爪楊枝みたいな物で操作する。電源スイッチはジャンパーピンにして、簡単にOFFにならない様にする。
LCDはグラフィックの128x48ドットの物をソケット使い取付ける。スペースの関係から少し足を曲げて斜めにする必要が有る。
基板は円形70mmとし、ICSP部分はPICKit3が入る様に切り欠く。
スイッチ、コネクタ以外は基本的に表面実装品を使う。

次回への改良点

 タクトスイッチは電池側に実装する。
 電源ジャンパーピンは電池側に実装する。
 電池の+-表示はわかりにくいので バッテリに隠れない所に別に表示する。
 表面実装にLEDは向きのシルクが消えてしまうので 少し離れた所に別に表示する。
 電池のBA1を0.5mmでも良いから外側に移動する。(モーター取付穴のナットと干渉する)
 CN1は使えない事が有るので 直付けをする為に 線の色をピン毎に表示する
 CN2の所の切欠きは1~2mm位増やす。(PICKit3が当たって奥まで入らない)
 出来れば CN3を電池と干渉しない所に移動する。(動作確認の時に外部電源を使いたいので)
 半田面の基板名称が鏡文字になっているので修正する。
 江戸時刻指針用のパターン(穴)を追加する。

参考資料

 部品表表示板基板(ガーバーファイル)
基板に関してはこのファイルを直接使う事は止めてください。なお、基板(生基板)は 現在の手持ち分に限り 無料で差上げます。 こちら連絡先へメールをお送り下さい。


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